発達障害関係の本・ご紹介Blog

~『パパはアスペルガー!』の副ブログ~ 発達障害に関する本の書評を、アスペルガー症候群の夫を持つ配偶者の視点から、書いて見ようと思います。

LD(学習障害)に関する本

『LD(学習障害)とディスレクシア(読み書き障害) 』


この『LD(学習障害)とディスレクシア(読み書き障害) 子供たちの「学び」と「個性」』の著者は、日本LD学会会長で、東京学芸大学教授の上野一彦先生です。



LD(学習障害)とディスレクシア(読み書き障害) [ 上野一彦 ]
LD(学習障害)とディスレクシア(読み書き障害) [ 上野一彦 ]

出版年月 2006年12月



内容は、平成19年度から本格的にはじまった『特別支援教育』にも触れていて、他には読み書きのメカニズムの解説などがあり、LDといわれる15分野で活躍した(している)有名人の紹介表なども詳細です。

全体にあたたかい視点で書かれており、LD児の家族にとって心強い気持ちになれる本だと思います。

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中でも私の印象に残ったのは、134ページの

障害に対する本当の理解というのは、その障害のある人々とどのように付き合っていけばよいのかを知ること、お互いに違和感のないスムーズな人間関係の作り方を知ることでもある。お互いにそれがわかりあえたとき、障害は始めて個性となるのではないだろうか。


という部分です。


障害のない人たちが、障害のある人たちを補助するのではなく、お互いにスムーズな人間関係の作り方を知ることが大切。
そして『お互いに』という言葉が、象徴するように、どちらか一方が理解して、もう一方に働きかけるだけでは、良好な人間関係を作る手段を知ることにはならない。
あくまでも人間関係というのは、双方の理解があってこそ成り立つんだよ。

と、書いてあるように、私には思えました。



私の感想はともあれ、しっかりした内容があたたかい文章で綴られているこの本を読むことができるのは、幸せです。







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『 LD(学習障害)のすべてがわかる本 健康ライブラリーイラスト版 』

『LD(学習障害)のすべてがわかる本 健康ライブラリーイラスト版』は、4月に発売されたばかりの本です。



* * * * *

この本は、見開きでひとつの項目をまとめてあります。

問題や苦手となることのもとになる認知の特性などの説明と、その具体的なサポート・対策、そして子供の気持ちの説明まで、簡潔に要領よくまとめられていて、大変読みやすい本です。

同じようなスタイルの本は、いくつも手にとって来ましたが、その中でも見易さと内容の濃さでは、いちばんかもしれません。

LDについて知りたい方、説明したい方、LDの子供をサポートしたいと思っている方に、ぴったりだと思います。


『ソーシャルスキル』
『子供との接し方』
『家庭でできること』
『しつけのポイント』
『教室での対応』

など、知りたいなぁ~と思っていることが、みんなひとつの項目になっていて、まさに『かゆいところに手が届く』という感じです。

保護者の方にも、先生方にも、便利でわかりやすくて知りたい情報が載っている…

そんな本です。

ちなみに、イラストもゴチャゴチャしていなくて、効果的でわかりやすいです。



LD(学習障害)のすべてがわかる本 / 上野一彦 / 健康ライブラリ−イラスト版【中古】afb
LD(学習障害)のすべてがわかる本 / 上野一彦 / 健康ライブラリ−イラスト版【中古】afb
出版年月 2007年4月




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『LD・ADHDの理解と支援 学校での心理臨床活動と軽度発達障害』

『LD・ADHDの理解と支援 学校での心理臨床活動と軽度発達障害』は、スクールカウンセラー向けの本です。

心理士・スクールカウンセラーさんが、精神分析的・心理学的アプローチではなく、発達障害の観点から、児童・生徒をサポートするための本です。

また、児童・生徒だけでなく、教師のサポート、そして学校の一員として保護者のサポートをする、そこまで踏み込んだ本でもあります。



心理的な面だけでなく、発達障害かどうかの判断や、その場合の具体的な支援の方法まで、丁寧に書かれています。

専門家ではない私が読むのには、ちょっとかったるかったのですが、内容が全くわからない… というようなこともなく、時間は多少かかりましたが、とても参考になる部分の多い本でした。


特に 第Ⅳ章『支援の実際』の④『学習の支援』、⑥『自己理解と進路の支援』 は、非常に参考になりました。



LD・ADHDの理解と支援 学校での心理臨床活動と軽度発達障害
LD・ADHDの理解と支援 学校での心理臨床活動と軽度発達障害

発行年月 2005年01月


保護者としては、『家庭の役割』などの項目もありますから、専門的な箇所は読み飛ばして、参考になりそうな項目のみを拾い読みしても、十分読み応えがあると思います。

+++

こんな本を読んで、実践してくださるスクールカウンセラーさんが、いるといいのになぁ~

なにしろ、我が居住地域の自治体は、公立の小・中学校 約160校に対して、スクールカウンセラーさんはたった3人なんです。
しかも、非常勤………

通常は(本業は)、病院などにお勤めされていて、必要な時にだけ呼び出されるらしいです。

理想と現実は、かくも隔たれり………… という感じです。



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『ふしぎだね!? LD〈学習障害〉のおともだち 発達と障害を考える本 3』

『発達と障害を考える本』シリーズの3冊目は『ふしぎだね!?LD(学習障害)のおともだち 発達と障害を考える本 3』(2006年5月初版)です。

LD(学習障害)は、個々のLD児・者の『苦手』に気付きさえすれば、『こういうことが苦手』ということが比較的はっきりしているので、対策をとりやすいかもしれない、と思いました。

なぜ苦手なのかということは、中枢神経系の『何か』によるらしい…という漠然とした理由しかわかっていないらしいですが(発達障碍全般に言えることですが…)、
・聞くのが苦手
・話すのが苦手
・読むのが苦手(←チビひめはこれです)
・書くのが苦手(←チビひめは得意。読めないのに書けるって不思議!)
・計算するのが苦手
・推論するのが苦手
というように、『苦手』が具体的です。

ここが、手助けする側にとって、アスペルガー症候群などとの大きな違いのような気がします。

根本的に『苦手』を直すことはできませんが、聞くことや話すことや読むことや書くこと…などの個々の苦手について、具体的な手助け・支援の可能性があるからです。

ですから、私もよくネット上で励ましていただいているのですが、
「LDは努力していけば、大きくなるとできることが増えていくから大丈夫だよ」
といわれるのだと思います。

こうやると読みやすいかも、書きやすいかも…という具体策が複数あるので、その子に合ったやり方を見つけさえすれば、苦手を軽減することは可能のようです。

その子にあったやり方を見つけるポイントもあります。
それは、認知の流れのどこで問題が起こっているのかを見つける、ということです。
・形を区別できないのか
・短期記憶が悪いのか
・音を聞き分けられないのか
・(言葉のもつ意味や文の決まりの)理解が悪いのか
などによって、アプローチが違います。

それを見つけられれば、ある能力の低さを、他の能力で補う方法がいくつか考えられるというわけです。

このように、LD(学習障害)そのものが、アスペルガー症候群などよりもより具体的な部分に表れるので、同じスタイルで書かれているこのシリーズの前2作(『ふしぎだね!?自閉症のおともだち 発達と障害を考える本 1』『ふしぎだね!?アスペルガー症候群〈高機能自閉症〉のおともだち 発達と障害を考える本 2』)よりも、“こうしてみました!”という項目の具体例がとてもわかりやすかった(実行して効果がありそう)ように思います。

また、P48~51の『LDとほかの障害』という項目も、なるほど~と思いました。
複数の障害(例えばLDとADHD)を持っていたとしたら、その子(人)には、その両方の支援が必要だと、きっちり書いてあるところに「うん、うん」とうなづいてしまいました。

来春、チビひめの担任が決まったら、授業が始まる前に絶対に読んでもらおう!と思いました。


発達と障害を考える本(3)
発達と障害を考える本(3)

発達と障害を考える本(1)
発達と障害を考える本(1)

新しい発達と障害を考える本(2)
新しい発達と障害を考える本(2)



私見ですが、LD児(者)にとっていちばんの問題は、“LDだと気づかれない”ことではないかと思います。
「この児(人)はLDなんだ!」
と気がつけば、ほかの発達障碍よりも手助けの方法がたくさんある気がするからです。
発達障碍全体が、障害だと気付かれにくいということもありますが、
LD(学習障害)は、
「頭が悪いからできない」
で片付けられてしまいがち、本人も親も先生も友達も、それで納得してしまいがち…なのが、いちばんの不幸だと思います。

早く気付いてあげられるといいですね。

最後に、P53に『LDをもっと知るために』ということで、いろいろな機関・団体のサイトが載っていたので、こちらでもご紹介しておきます。

LD KIDS & TEENS http://www.todoplan.co.jp/LD/
LD(学習障害)親の会「けやき」 http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/ 
軽度発達障害フォーラム http://www.mdd-forum.net/
兵庫県LD親の会「たつの子」 http://www.sanynet.ne.jp/~tatunoko/
EDGE http://www.npo-edge.jp/
神奈川LD協会 http://www.246.ne.jp/~kanald/
全国LD親の会 http://www.normanet.ne.jp/~zenkokld/



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LD児サポートプログラム ~ LD児はどこでつまずくのか,どう教えるのか

初版が2000年7月ですから、もう必要な方は皆さんお手元にあるかと思いますが、すっごく良い本です!
これは使い込めます。

・文章がわかりやすい
・具体的な事例とその理由付けがはっきり解説されている(図入りで)
・使える!具体的な課題集が付いている
  (ゲームを中心とした楽しい課題ばかり♪)
・個々人に必要な課題だけをピックアップして選び易い
  (課題を選ぶ際の遊びの要素の参考表が便利)


理屈っぽい私だからなのかもしれませんが、完全に惚れました
絶対買いです!

(ただし、ご家族とか指導者の方とかに限ると思いますが…。
完全な実用書という感じですので。)




【中古】 LD児サポートプログラム—LD児はどこでつまずくのか、どう教えるのか
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プロフィール
・アスペルガー症候群の夫:Qさん
・1996年生まれの息子:ノロリ
・2001年生まれのLD娘:チビひめ
との生活に、孤軍奮闘中。

メインブログの『パパはアスペルガー!』
で、いろいろ愚痴っています。
はじめにお読みください
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