発達障害関係の本・ご紹介Blog

~『パパはアスペルガー!』の副ブログ~ 発達障害に関する本の書評を、アスペルガー症候群の夫を持つ配偶者の視点から、書いて見ようと思います。

参考になった本

『長所活用型指導で子どもが変わる』

長所活用型指導で子どもが変わる [ 藤田和弘 ]
このシリーズは、私のまわりの一部(認知処理様式に偏りのあるお子さんを持つお母さんから)で絶大な人気を誇っています。

K-ABC検査(発達検査の一つ)などで、認知処理様式の『継次処理』と『同時処理』に有意な差があるお子さんにお勧めです。

いわゆる『定型』のお子さんはこの二つの処理様式に差がないので、先生のどんな教え方(同時処理的な教え方でも継次処理的な教え方でも)でも学ぶことが可能です。

でも、どちらかの処理が弱い子は、教え方が合わなかった場合、『全然できない』ということになってしまうかも…

算数の九九を覚えるにしても、同時処理優位のチビひめなどはいくら繰り返し唱えても無駄。

認知処理様式にあった方法でトライした方が、本人も楽だし教える方も簡単です。

待望のPart4が2015年9月に出版されましたので、あらためてご紹介します。 
 



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『1分間集中トレーニング』

1分間集中トレーニング [ 上嶋惠 ]は、娘が小学校の時、我が家でもっともよく活用した本かもしれません。

特に、全身脱力のトレーニング(?)は今でも役に立っています。

身体の力をぬくトレーニングは、心身のリラックスに役立つだけでなく、無意識に力が入ってこわばってしまい、何もしていないのに疲れ切ってしまう傾向のある発達障がいを持つ子ども達の普段の生活に欠かせないもの。

私のまわりでも「やってたよー」という方が多いです。

学習レディネス(学習するための準備)を整えるのに役立ちます。

座っていられなくて立ち歩いてしまうとか、文字の線がぐにゃぐにゃでなんて書いてあるかわからない…など、教科学習をする前段階の準備に。

準備ができていない子どもに、いくら国語や算数を教えようとしても効果は期待薄です。

勉強ができない!と嘆く前に、まずは学習する準備を整えてあげましょう。







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『発達障害のある人の大学進学  どう選ぶかどう支えるか』

特別支援教育が始まってから9年…

小学校では、まあ、なんとなく特別支援教育の形ができあがりつつあるのかな…という気もしますが、支援の内容はといえば、まだまだ自治体間の格差・学校間の格差・教員間の格差があるのが事実です。

中学校では、いまだ、『特別支援教育とは何ぞや?』も知ろうとしない教員が存在したりで、体制としての自治体間格差・学校間格差の問題よりも、あまりにも広がりすぎてしまった『教員間格差』の問題が深刻です。

高校に至っては…公立高校はまだなんとか教育委員会が頑張っていますが、私立高校となるとそれこそ熱心に取り組んでいるところと、そのような問題があることすら全く考えることさえしていない学校との格差は無限大です。


さて、では大学はどうなんでしょうか?

センター試験の改革が行われたり、学生課に専門家を配置したり、取り組みが始動している(機能している…と言えるのはこれからでしょう。)手ごたえは確かにあります。

高等学校までに何らかの支援を受けてきた人たちが、大学受験の折、あるいは大学に入学してから、何らかの支援を受ける機会に恵まれる事例も出てきました。

とはいえ、まだ後期高等教育での支援は始まったばかり、というよりも、どちらかというと『実験段階』くらいでしょうか?

そんな中、数少ない支援の事例などや大学進学時の当事者や保護者の心構えなど、様々な視点から様々な立場の方が分担執筆された『発達障害のある人の大学進学 [ 高橋知音 ]』は、現段階で進学を希望されている当事者・保護者の必読書かもしれません。

大学進学は、まず無理だろうなぁ…と思われる娘を持つ身ですが、中学生・高校生の保護者として大学進学を考えていなくとも参考になる部分がたくさんあります。

学齢期のお子さんを持つ保護者の方と、大学・専門学校など後期高等教育を希望している当事者の方にお勧めします。



発達障害のある人の大学進学 [ 高橋知音 ]

発達障害のある人の大学進学 [ 高橋知音 ]




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『ねこは青、子ねこは黄緑 共感覚者が自ら語る不思議な世界』

文字や音に色がついて感じられたりするなどの共感覚の持ち主パトリシア・リン・ダフィーが、共感覚の説明や(アメリカでの)社会認知の歩みなどを綴った本です。





【楽天ブックスならいつでも送料無料】ねこは青、子ねこは黄緑 [ パトリシア・リン・ダフィ- ]



共感覚については、説明するのが難しいので、本書を読んで理解していただきたいと思います。

もちろん、日本人にも、共感覚の方はいらっしゃいます。
ぜひ、こういう不思議な感覚をお持ちの方がいらっしゃるということを、知ってほしいと思い紹介してみました。

娘を見ていると、
人間って本当に不思議で多様で複雑な生き物だなぁ~
と実感できるのですが、この本を読むと、もっと人間ってすごい!とびっくりすると思います。


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もうひとつ、この本をご紹介した理由があります。

それは、著者や、その友人たちが、非共感覚者にではなく、同じ共感覚者に抱く、激しい憤りというか『イライラ』や『許しがたい、受け入れがたい』感情を持つ、という記述があり、そのような感情を抱く理由の分析が書かれているからです。

例えば、ある共感覚者Xさんにとって『A』は『赤色』なのに、別の共感覚者Yさんにとって『A』は『青色』であったりするらしいのです。
が、これは、XさんYさんともに、とうてい相手の言っていることを受け入れがたいことなのだそうです。

Xさんにとって『A』は『赤色』だということは、自分では変えることの出来ない『事実』であり、Yさんが『A』は『青色』だということは、『間違っている』のだそうです。
Xさんは、Yさんに、激しい怒りさえ覚えるそうです。

非共感覚者に対しては、
『A』は絶対に『青色』である、などと『間違った主張』
はしないので、こういう激しい感情を抱くことはないようです。


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時として、定型発達者から見ると理解できない、非定型発達当事者間の激しい論争が何故起こるのか、この本を読んで、原因がつかめたように感じました。(89ページ前後の記述を読んで)

自分と感覚が違うからといって社会から排除しないで欲しいと、定型発達者に訴える非定型発達の当事者の方が、
同じ非定型発達者に対しては
「自分と違う」
と言って、激しい攻撃をする。

定型発達者から見ると、理解しにくい当事者の方の気持ちを知る上で、この共感覚者の書いた本は、とても役に立つと思います。


ぜひ、ご一読下さい。



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『心からのごめんなさいへ』

『心からのごめんなさいへ 一人ひとりの個性に合わせた教育を導入した少年院の挑戦』は、心理的・カウンセリング的手法ではなく、発達障害を視野に入れたアプローチ・プログラムで、少年院における矯正・更正教育で、劇的に成果を挙げた宇治少年院他のルポです。


心からのごめんなさいへ [ 品川裕香 ]
心からのごめんなさいへ [ 品川裕香 ]

発行年月 2005年07月


筆者の品川裕香(しながわゆか)さんは、『気になる子がぐんぐん伸びる授業』の訳者・著者で、発達障害児・者に積極的に取材をかさね、現場からの視点で文章を書いていらっしゃる、私がいつも共感してしまうライターさんです。

この本も、数年にわたる現場での取材ののちに書かれた本で、大変興味深い内容です。

少年院での事例ですので、そのまま紹介されているプログラムを一般の小・中学校での教育に当てはめることはできません。

が、『特別支援教育』『個別の教育的ニーズ』に合わせた教育と、その基本的な姿勢の部分で、共通点が非常に大きいと感じました。



「学校の勉強なんて、できなくたっていいんだよ。」
「学校の勉強がすべてではないんだからね。
 学校の勉強は、社会に出て役に立たない事だって、たくさんあるんだから。」
「個性豊かなのは、算数や国語ができることより、ずっといいことなんだよ」


こんな、当たり前のように言われていることが、実は『学校の勉強ができない子供』を追い込んでいるかもしれない…


学校に通っている限り、子供にとって『勉強ができない』ということは、大人が『たいしたことではない』と思うのとは裏腹に、実は子供たちにとって、とてもつらく悲しいことなんだ、ということがヒシヒシと迫ってきます。

LD(ディスレクシア)の娘を持つ私にとって、この本に書かれている少年院の子供たちの学校でのつらさは、決して他人事ではありませんでした。



特別支援教育に関心のある方は、是非参考に読んでみてください。



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プロフィール
・アスペルガー症候群の夫:Qさん
・1996年生まれの息子:ノロリ
・2001年生まれのLD娘:チビひめ
との生活に、孤軍奮闘中。

メインブログの『パパはアスペルガー!』
で、いろいろ愚痴っています。
はじめにお読みください
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