地方自治の傾向は、政治・経済の世界だけでなく、教育界にもいろいろな変化をもたらしているようです。

地方独自の政策、地方独自の教育制度の整備…

特別支援教育本格実施元年の今年(2007年)、特別支援教育関連の話題が新聞などのメディアに掲載され、特別支援教育に関する書籍も、次々と出版されています。

この『実践事例に学ぶ特別支援教育体制づくり 23自治体の特色ある取り組みから』も、そんな中の一冊で、出版されたてホヤホヤの本です。

各地方自治体の、特別支援教育への独自の、あるいは先進的な取り組みの最新の情報が満載です。

各自治体の事例は、第三者ではなく行政の担当者が執筆しているようですので、報告書然としていて、読み物のようにスラスラ読み進めることができる…という感じではないかもしれません。
(私は読了するのに、かなり時間を要しました)

各自治体の事例の後には、その自治体の取り組みの特徴や独自な点やこれからの課題などが、編著者の柘植雅義(つげまさよし)さんによってコメントされています。


実践事例に学ぶ特別支援教育体制づくり [ 柘植雅義 ]
実践事例に学ぶ特別支援教育体制づくり [ 柘植雅義 ]

発行年月 2007年03月


みなさんの住んでおられる自治体は、この本の中で紹介されているでしょうか?

私の住む自治体は、この本に掲載されている自治体と比べて、まるでどこか遠い外国の話か、はたまた地球以外の天体の話かしら??? と思ってしまうほど、格差があることがはっきりとわかり、暗澹たる気持ちになりました。




我が自治体も、入手した特別支援教育への取り組みの計画段階の資料は、確かに素晴らしい体制に思われる、立派なものでした。

けれど、2007年5月現在、その計画の理念も、実際のサポート体制も、ほとんど稼動していません。

見事なまでの『絵に描いたもち』です……



それに引き換え、この本に掲載されている自治体では、実際に報告の通りに稼動しているとはいえないでしょうし、いろいろと不完全で不備な点もあるでしょうが、少なくとも
『特別支援教育が走り出している』
ことは間違いなさそうです。



この本の中には、自治体の規模の大きいところから小さなところ(人口にして100万人を超えるところから数万人規模のところ)まで、23自治体の例が報告されています。

おそらく、居住地に近い規模の自治体の事例を、どなたでも見つけられると思います。

自治体の規模によって、できること・できないこと・上手く稼動する体制など、いろいろ違ってくると思いますが、必ず参考になる事例がこの本の中に見つかると思います。

行政の腰が重い自治体にお住まいの方は、この本に掲載の、似たような規模の自治体の例を出して、
「○○市だって、これだけのことができるんですよ。うちも、これくらいのことはがんばって早期に実現してください」
くらいのことを、教育委員会なり、福祉課なりに懸けあってみてはいかがでしょうか?


結構、他の自治体の同じ職種の方の仕事を、知らない担当者が多いもので、保護者の方がいろいろ知識を持っていたりする場合も多いものです。

私は、忙しすぎて他の自治体の事例を調べる暇なんてない各関係機関の担当者に、
「こんな事例もあるそうですね」
と、この本の紹介程度のことを、やんわりと(←知ったかぶりの保護者と思われるとマイナスなので…)お話してみています。

行政と保護者がともに手を取り合って子供の教育について考える、ひとつも方法かもしれないと思いますから。


+++


最後に、この本の中で紹介されていた、北海道立特別支援教育センターのHP(ホームページ)が、非常に充実していて、いろいろな資料のダウンロードもできますので、ご紹介しておきます。


  ⇒ 北海道立特別支援教育センター


特に、ご自分の受け持つクラスの中に、特別な教育的ニーズのある児童・生徒がいる教師の方で、生徒・児童への具体的な指導の方法がわからないとお悩みの先生必見のサイトです!



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