『ふしぎだね!?アスペルガー症候群〈高機能自閉症〉のおともだち 発達と障害を考える本 2』は、『よこはま発達クリニックの内山登紀夫先生』の監修の本です。

・よくある事例をイラストで紹介
・総ルビ付で、小学生から読める

ということなので、親子・先生と生徒で読むのに最適なのではないかと思ったのですが…

読んでみての正直な感想は、ちょっと盛りだくさん過ぎて、ごちゃついた感じで、大切なことは網羅されているけれども、読みやすいかというと、そうでもないかな…という感じです。

また、息子を通して小学生の親として4年目を迎え、今の小学校の現状を多少なりとも知る者としては、この本の内容を実践するには、現状の学校のシステムでは無理だと思いました。

先生たちは、自分の受け持ちのクラスの子供たちに集中することが許されないほど(親の目から見て)雑用が課せられていますし、生徒たちは学習内容というよりも、小学校のスケジュール(カリキュラムというんでしょうか?)についていくのに精一杯です。

例えば、
・先生たちが会議をする間、親がボランティアで『読み聞かせ』などをする(そういしないと、学年すべての先生が朝の一定時間ひとりもいなくなってしまい、特に一年生などは危険)
・総合学習が取り入れられたせいか、一年生から校外学習(街探検など)があり、親が交通安全の確保などのボランティアに立つ
など、今のシステムは、先生たちだけでは学校生活が成り立たないほどのカリキュラム構成なのです。

そのうえで、この本の内容を、多少なりとも実践しようと思ったら、先生たちはみなスーパーカリスマ先生級でなければならないでしょうし、自閉症スペクトラムを持たない子供たちは、学校生活や学習面において、自分のことに対しては、何の不安も問題も悩みもないスーパー生徒でなければならないでしょう。



P52~53に『手助けのポイント』が5つ載っています。
この『手助けのポイント』は、子ども・大人に関係なく必要なポイントで、大変わかりやすくまとめられています。

手助け1:前もって伝える
手助け2:コミュニケーションを手助けする
手助け3:集中できる工夫をする
手助け4:話しかけるときはおだやかにする
手助け5:自信をつける

ですが、日々、つれあいのQさんにこれらのポイントを実践して、接しようとしている私には、これらが実際の生活において、実践するのが非常に難しいことなのだ、という実感があります。

私たち家族や周りの人々は、療育や手助けのみをしているわけではありません。
現実の自分の生活を毎日送りながら、(私ならつれあいに)手助けのポイントに添って接しなければならないのです。
これは、自分の生活のルールと、もうひとつ別個の(手助けのための)ルールを、実生活の上で同時に実践するということですから、単純にルールが二重(二倍)になるので、手助けする側が混乱してしまうので、簡単なルールであっても、実践するのは非常に困難なのです。

例えば、手助け2・4に関係したことですが、
つれあいのQさんに何か伝えようとすると、私の頭の中では、伝えたい言葉(文章)を自分の通常の言葉ではなく、いったんQさんにわかる文章構文に変換して、なおかつ、通常の身振り手振りを交えた抑揚のある口調ではなく、平板でおだやかな口調で言葉を発するように注意しなければなりません。
これは、私にとって、苦手な英語をしゃべるのと、全く同じ困難を伴います。

日本語を頭の中でいったん英語に翻訳し、それからカタカナ英語ではなく、『英語の発音』で言葉を発しなければならないのと同じです。

伝えたいこと・言いたいことがでてきたときに、とっさに頭の中でこれらの作業をこなすのは、大変な困難なのです。
この作業を、頭で考えることなく自然に行えるようになるためには、英語がペラペラになるのと同じくらいの時間と訓練が必要だと思います。

また、手助け1の『前もって伝える』ですが、実生活では、前もってわかっていることのほうが少ないはずです。
今日何が起こるのか、子どもがなにをやらかすのか、どう対処しなければならないのか、前もってわかっていることなど、ほとんどありません。
ですから、前もって伝えられることは、ほんの少ししかありません。

特に、親業なんて、毎日が手探りなのですから、わかっていたらこちらが教えておいて欲しい!と叫びたいくらいです。(ノロリとチビひめに振り回されているグチはいってます…)

手助け3に近いと思うことですが、先日心理士さんにQさんの書斎(のような自分ひとりの場所)を作ると、もっと落ち着けて失敗が少なくなる、とアドバイスされました…
2LDKSの家で、これまたそれは難しい…です。
なるべく、休日はQさんのいない部屋にいるように心がけていますが、子どもたちはそんなことにはお構いなしですから、
「今はおとうさんをひとりにしておいてあげて」
と言ってもまるで効果なし…。

以上は我が家の場合ですが、学校でも事情は似たようなものです。
手助け1 ← 予定がコロコロ変わるので、先生でさえ日程や時間割を間違えてしまう
手助け2・4 ← 小学校4年生までの息子を見ている限り、お友達に何か話すときは、夢中で自分の考えを一所懸命話すので精一杯、『具体的な簡単な言い方で伝えるようにしましょう』なんて余裕があるとは、とても思えない(息子のお友達の男の子たちも同様です) ← これができるなら、私ももっと息子の学校での様子が息子から聞けていると思います…
手助け3 ← やろうと思えばむしろこれがいちばん簡単かも知れません。物理的な問題ですから…。
手助け5 ← これは、自閉症スペクトラムの子どもに限ったことではなく、子どもたち全般にいえることですよね。もっともっと子どものいいところを見つけてあげて誉めなければ…

以上、散漫になってしまいましたが、私の感想です。


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(本の感想とは関係ありませんが)最期にもうひと言。

小学校において、手助けする側がこれほど大変で手助けが難しい…ということは、当事者の子どもたちはその何倍も何倍もつらくて大変、ということです。
定型発達に含まれている息子を見ていても、学習面では今のところたいした問題はありませんが、『学校生活そのもの』がとても大変そうです。
もうちょっと、子どもたちに余裕のある小学校生活を送らせてやりたい、と思う親は私だけではないはず…。
そして、
「先生たちを(特に担任の先生を)子どもたちに返してちょうだい!」
と、声を大にして言いたいです。




新しい発達と障害を考える本(2)
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